2009-08-31掲載
今回は、8月最後の日となってしまいました。
でもって、増えるは増えるでも、
どのくらい増えるの?
というのが今回のお話。
増えるというと、なんとなく身近なのが
お金の「殖える」かもしれませんね。
預貯金でお金が殖える、という場合は、
それがいったいいくら殖えるのか
元手に利率を掛けて
実際に殖える金額を実感するのが、
一番わかりやすかったりします。
現在の普通預金の金利が、年0.04%。
10万円の元手とすると、利子が一年で40円。
ちなみに借りる金利を、年3%とすると、
10万円借りて、利子が一年で3000円。
こうやって比べると、
だいぶ違いますね。
さてお金の話はこれくらいにして、と。
今日は、増えるっていったいどのくらい?
というのを考えてまいりますよ。
●増え方のいろいろ●
「ネズミ」と聞いて、
今日は舞い戻ってまいりました。
おやおや。
ネズミ算
っていうのは
やっぱりざくざくと数が増えるという
イメージですよね。
ええ。しかし、
やはりどんどん増えていくという言い方で
雪だるま式
というのもありますよ。
うーん、そう来たか。
どっちが増えるかなあ。
ビミョーだなあ。
微妙ですか。
●「雪だるま式」はどれだけ増える?●
雪だるまって、転がしていると、
最初はどうってことないんだけど、
あるとき
突然にぐっと重く
なって
動かせなくなるんですよね。
あれがいかにも、
急に増えたって感じを与えるんだよなあ。
では、何が急に増えたのか?
と考えると、
それは体積
ですよね。
ああ、そうだ。
そうですね。
ごろごろと距離を移動して、
表面に雪をつけていっただけなのに
いつの間にか、でっかくなった、
体積が増えちゃったという感じ。
はい。
どのように増えるのか、
式に書いてみるとわかりやすいのですが
まあ簡単に言うと、
体積というのは3D(三次元)
ですから、
およそ
3乗
で増えていくわけです。
タテ×ヨコ×高さだから、三乗ですね。
三乗に注目しようというのは、
それが一番増える原因になりそう、
ということですか?
そうですね。
たとえば右肩上がりなんて言いますけれども、
右へ向かって上昇する直線を描いても、
その上がり方は、
常に一定量
であって、
急に何倍にもなるような増え方ではありません。
それらに比べると、3乗というのは、
かなり増えていくはずです。
ふむふむ。
●ネズミの増え方の特徴は?●
もうひとつは「ネズミ算式」ですね。
ネズミ算式に増えるっていうのは、
増え方がすごくて恐ろしいですから
注意しましょう、というような
意味合いでよく使いますよね。
これだけ考えるとなんとなく
ネズミ算のほうが増えそうなんだけれども、
よくよく考えると、
雪のボールが増えて大きくなるのは
イメージ的にもいいことであって、
ネズミが増えていくのはイヤなこと、
というだけかもしれない
……なんて思いました。
だけど、実際には、
ネズミ算がどういう増え方かっていうのは
ぜんぜんわかってませんです。
ふむふむ。
ネズミ算がどういう増え方か
というと
等比数列
と考えていいと思います。
うーむ。等比数列?
はい。
ネズミ算は繁殖の話ですから、
世代ごとに倍、倍というふうに増えていく
ということでしょう。
式に書くとまた長くなってしまいますから
どういうところが増える源なのか、
に注目すると、
指数的に増加しているのがポイントです。
じゃあ今度の指数は、
三乗でなくて、何乗
なんですか?
何かの何乗
ではなくて、
何乗のところ
がどんどん増えていくのが
指数的に増える
ということです。
●言うよりもグラフが易し●
グラフに描いたほうが早いので
さっそく描いてみましょう。
えー、イメージがないのに
グラフなんかさっと描けないですよ。
簡単な表を作って、グラフ化すれば、
エクセルでも描けますよ。
1の三乗は1、
2の三乗は8、
3の三乗は27というんでいいんですか?
はい。指数的に増えるほうは、
たとえば2、4、8という具合に増えていきます。
下のグラフはこのようにして出した
それぞれ10個の数字をグラフにしたものです。
うーん、予想に反して、
雪だるまのほうが好調ですね。
ええ。
指数的に増えるほうが、伸びが遅いです。
ところが、もう少し先まで見てみますよ。
こんどはそこから5増やしただけ、のグラフです。
なんじゃ、こりゃ。
天井破りだ。
●指数的増加は「怖い」か?●
はい、これが指数関数の特徴ですね。
ある時点を境に、急激な増加を示します。
その様子は、まさに手がつけられない
といった感じを与えますね。
確かに。
ほら……猫ってやっぱり、
ゆっくりした環境変化にはついていけるけど、
こう心の準備のないままに増えられると
怖い感じがするなあ。
ある現象が、
指数関数的に増加する可能性がある、
という場合には、
最初のグラフのような状態のうちに
なんとか手を打つべきだ、ということになります。
しかし逆に、急に増えるなあと思うものがすべて、
指数的増加というわけではありません。
当たり前ですが。
しかし、です……
もし、これだけネズミが増えて
しかもその過程で、ネズミが大型化したりすると、
猫がネズミに襲われる
なんて日も来るかも知れないんじゃ?
現象はもっと複雑で、
いろんな要因がありますよね。
ですから、ネズミはそのように増えるかもしれない、
という可能性だけみても
実際の数はわかりませんよ。
そうか、ほっとしました。
ではこのへんで。
おしまいはまたまた
お金の話で恐縮なんですがね。
複利の利子の増え方を式に書いて
例によって増え方を決めるとこにだけ
注目すると、なんと
何かの何乗
ではなくて、
何乗のところ
がどんどん増えていく
式になっているんですよ。
増えるっていうときは、
「どれくらい」をちゃんと考えなきゃ
でございます。
というわけで、
「スケール編」はまだまだ続きます。
どうぞお楽しみに。