第0話:プロローグ
2007-10-26掲載


リョーシカは、量子を研究している物理学者である。
彼女に出会うまでは、実はわたしも「量子(リョーシ)」
など見たことも聞いたこともなかった。

しかしわたしたちは共同で本を書き、出版し、
それらはいくつかの大きな書店の店頭に並び、
あるいは図書館の「物理学」の棚に収められた。

このことを通じて、わたしたちは
人の話、わからないにもほどがあるって時には
リョーシカ! って言うことや、

ちょっと待ってよ、
いくらなんだっておかしいよその話。
そういう時は、
マテ・リョーシカ! って言うことや、

ところがさ、どんなにおかしかろうと、
これで正しいんだって。
ずばり、これがエッセンスだって。
そういう場合、人は
マトリョーシカ, マト・リョーシカ!
と叫ぶのだという事実を知ったのである。


だが、それはもっと先の話になる。

本を書こうという当初、
わたしが知っていたのはただひとつ、
それは、リョーシカが
「マトリョーシカ」に瓜二つだってこと。

買ったばかりのマトリョーシカを持ち、
わたしがリョーシカ研究室のドアを叩いたのは
ある晴れた日の午後のことだった。。。

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