わたしだけのマトリョーシカ。
第14週:線を描くのは意外と大変!
2009-06-26掲載


先週、ついに下絵が完成
というところまで来ました。

マトリョーシカを描く道具一式

そこで今週はいよいよ「塗り」
に入っていきたいと思いますよ。

ここからは「一気呵成」
なんて言いましたけど、
よくよく考えてみると、
こういうアナログなものの場合、
道具の影響も大きいような気がします。

つまり道具の性質次第で、
同じ「塗る」という作業の中身も
ぜんぜん違ってきてしまうって感じ。

書類やウェブページ作りの段取りだって
アプリケーションのでき次第で
ずいぶん違ってきますものね。

そこで、マトリョーシカを作るにあたって
まずは、どんな道具を揃えたらいいのか?
というところから、
詳しく進んでまいりたいと思います。

というわけでさっそく、どうぞ。

段落替え

●絵付けに必要な道具一式●

わたし マトリョーシカを作るのに必要なもの
ということで、
先週はなんと白木のマトリョーシカさえ
要らないって話をしちゃったんですけど。

今週はふつうの白木のマトリョーシカで
話を進めてまいりますよ。

リョーシカ はい。
まず、絵具は何を使って描くのですか?


わたし 道具一式を撮影したのでご覧ください。
じゃじゃーん、とこんな感じ。

マトリョーシカを描く道具一式

わたし 下絵までに使ったのが
・白木のマトリョーシカ
・サンドペーパー
・鉛筆(やわらかいBタイプのもの)、消しゴム

マトリョーシカの絵付けで使うのが
・絵具(アクリル絵具など)
・筆(丸筆など)
・パレット、筆洗器、タオルなど

最後につや出しの仕上げに使うのが
・透明ニス
・ニス用刷毛
・ニス専用うすめ液(なくても可)

ざっと、こんなところですね。

まず絵具ですが、
木に塗るので、基本的には
小学生が使うような水彩絵具でも大丈夫

ただし──水彩というのは、
にじむし、乾いても水溶性だし、
そういうわけで濁ったり、
でもってやりなおしがきかないなど
いろいろ熟練を要するところがあるように
思うのですよ、わたしは。

その点、乾けばにじまず、
しかも速乾性に優れた、
アクリル絵具なら、ばっちりです。

リョーシカ じゃ、絵具はアクリル絵具と
いうことですね?

マトリョーシカ絵付け、アクリル絵具


わたし うん、ただアクリル絵具は、
ふつうの水彩絵具よりだいぶ高価なんですよ。
そこが問題。

しかも乾くと、使えなくなっちゃうので、
ちょっと急いじゃうんですよね、描くときに。

塗り始めたら「一気呵成」となるのは、
実は、そのこととも関係あるんじゃないかと。

リョーシカ
ああ、なるほど。



●面の悩みは、四色問題!?●

わたし しかしまあとにかく
まずは面を塗りましょう。
ウォーミングアップみたいなつもりで
塗っていけばいいと思いますよ。

ロシアのマトリョーシカ工場での
作業の様子を写した写真などを見ても、
装飾性がとても高いようなものは除いて、
やはり面を先に描いているようです。

ところが、私はいきなり一体目で
失敗したのですが──

このネコマトリョーシカは、
前足、後ろ足、お腹と、全部白いんですね。
すると、せっかく下絵で手足を描いてあっても
面の色を塗ると見えなくなっちゃうんですよ。

マトリョーシカ絵付け、四色問題


わたし おやと思って、
売っているマトリョーシカをよく見ると、
うまく塗り分けられたデザインに
なっていたんですね。

つまり教訓としましては
隣合う色は別にしておけ
ということでありました。


リョーシカ そういえば、数学に四色問題というのがありますよ。
今は解明されて、四色定理と呼ばれています。

マトリョーシカごとに
使う4色の組み合わせをあらかじめ決めておけば、
塗り分けられるだけでなく
トーンもそろいますね。


わたし そーいえばそうですね。
先に色を作ってしまえば、作業もはかどるし。
なるほど、気がつかなかったなあ……。



●絵筆を握ったら「描くモード」で●

わたし さて。続いては、線です。
で、線は面より難しいです。


リョーシカ
そりゃそうでしょうね。


わたし ええ。だから道具で一番大切なのは筆!
と言いたいところですが、
なんとかと道具は使いようでですね、
ホームセンターで売っているような筆でも
慣れてくると問題なかったりしてね、
ここは道具の精度よりも手の精度
と言うにとどめたいと思います。

マトリョーシカ絵付け、面を塗る


わたし また筆先にはいろんな形状がありますが、
線を描くには「丸筆」がいいと思います。
お習字の筆みたいなやつですね。

それでもって、面を描く時に
「次は線を塗るんだ!」ということで
線を描く練習のつもりで取り組む、
これがおすすめでございます。

ところで……話は飛ぶんですけれども
目をつむって片足で立つ
っていう体力テストがあるじゃないですか。

リョーシカ
はいはい。


わたし あれも最初のたちあがりのところで
うまく調整できなくて失敗する人が
多いですよね。

線を描くときも、それと同じで
絵心とかいったもの以前に
呼吸を整えたり、集中力をどう安定させるか
が重要なんじゃないかと思います。
すっと「描く」モードに入れるかどうか
と言いますか。

ところが一方で──逆のことも思うわけでして
ここまで息をつめなきゃできないってのは
ちょっと大変すぎる。
こういった作業にまだ慣れていない人向けに
もう少しうまい方法があるんじゃないかと。

リョーシカ
ああ、いいアイデアがありましたか?


わたし やっぱり線の細さが一定に描ける
要するにペンみたいなものがあると、
描きやすいだろうなと思います。

そうしたらそういう道具があって
「水筆」という、万年筆みたいに
塗料をチャージしながら描ける道具も
あるようですね。
ただ液体でないとチャージできないから、
アクリル絵具には向いていないかも。

それから、
マトリョーシカ絵付け教室などで
油性のサインペンなどを置いているのも
いくつか見かけましたよ。

リョーシカ
サインペン、ですか?


わたし そう。でも、ペンさえあればちゃんと描けるのに
って気持ちは、よくわかるんですよ。

ま、おおげさですが、
人類の、筆で描くというスキルが
退化しつつあるんでしょうね、きっと。

マトリョーシカ絵付け、ネコマトと魚

(つづく)



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