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FILE: 006講演会レポート

講演会という取り組みについて


今回の講演会会場の新大阪へは東京からのぞみで約2時間半、会場まで片道およそ4時間の道程。新しい観客のみなさんへ向けてスピーチを行うため、通常の研究の合間をぬって出かけます。このような講演会という活動について、香絵博士に聞きました。


●量子を語り、伝えていくということ
量子というのは、なかなか直感的に理解するのが難しい概念です。たとえば波であると同時に粒子でもある、というのは、量子の基本的な性質ですが、私たちは物質がそんなふうに振る舞う様子を今まで一度も見たことがありません。
一方で量子はたいへん壊れやすい性質を持っており、測定を行ったり、たとえば誰かに見られるだけでもすぐにその状態が壊れてしまいます。
このような量子を紹介するには、いかにヴィジュアルの力で理解してもらい、身近に感じてもらうのかという点を鋭意工夫しなければなりません。

●わくわくする、科学の楽しさを伝えたい
しかし、より重要なことは、講演会を通じて、より多くの人に科学を研究することの楽しさや、考えることの大切さを感じ取ってもらうことだと、私は考えています。量子は今、たいへんホットな研究分野ですが、また別の時代には別のテーマが科学者たちの間で大論争になっているかもしれません。それはいかにもありそうなことです。まさしくそのようにして科学は新しい解明を目指していく、その楽しさ、自分で考えて問題を解決する喜びの一端を、感じていただければと願っています。