第9週:「量子の特徴」って何だろう?
2009-05-15掲載


さて今週は、先週締め切りました、
アンケートご回答者プレゼントの
当選者発表から、まいりたいと思います。

じゃんじゃかじゃーん、
厳正なる抽選の結果、
Kuni92さん(東京都)が当選されました!
ご回答・ご応募ありがとうございました。

なお、アンケートの総回答数は30票(無効1票)
プレゼントご応募数は7票でした。
ちなみに目標は100だったのですが、
残念ながら、かなりの及ばず。
なんとかもう少し工夫をしなきゃでございます。

季節の写真200905

さて、第一回のアンケートをもとに作られる
『週刊リョーシカ!』のコンテンツも
残すところあと2回となってまいりました。

というわけで今週は、こんな問題。
さっそく、どうぞ。

段落替え

わたし サバ! リョーシ猫の「わたし」です。
アンケート9つ目の質問は

「量子の特徴をイメージすると、
どちらの言葉が近いですか?」

というものでした。

ところで、しかし……なんですね、
「特徴」っていうと、
たとえば「O型の特徴」とか
「本サービスの特徴」とかいうように
使いますけれども、

じゃあ「量子の特徴」となると、
どうなんでしょうねえ?

リョーシカ
といいますと?


わたし ええと、つまり「O型の特徴」の場合なら、
血液型ということですから、
ほかにA型、B型、AB型があって、
それらと比べてどう違うのか、というのが
「O型の特徴」になるわけですよね。

「本サービスの特徴」の場合は、
要するに、他のサービスとの違い、
って意味じゃないですか。

じゃあ量子の場合は、
何と比べて、どう違うの? っていうのが、
私はちょっと困っちゃったのです。

リョーシカ なるほど。
それは困りましたね。

じゃあ思い切って、
直感でイメージしてみましょう。
選択肢は何でしたか?

わたし はい。
「数の爆発的増大」
「性質の豊富さ」
のいずれかを選ぶ質問でした。

そして集計結果は──

アンケート結果09

わたし というわけで、2007年5月8日の集計で、
回答数30票のうち、
「数の爆発的増大」12票(40%)
「性質の豊富さ」18票(60%)
でした。


リョーシカ ふむふむ。
みなさん、ずばっとイメージしてくださいましたね。

量子に「数の爆発的増大」というイメージも
なかなか悪くありません。

しかし、やはり量子の性質で特徴的なものといえば
「性質の豊富さ」ということになると思います。

わたし すると正解は「性質の豊富さ」ですね?
みなさん、いかがでしたか?

ところで、当たったはいいけれど……
どうして性質の豊富さが、
量子の特徴なんですか?


リョーシカ 量子の基本的な状態は、
「重ね合わせ状態」でしたね。


わたし ええと、それは
第7週:何をどう「重ね合わせ」るの?
でやりました。

リョーシカ はい。
たとえば、現在世界じゅうで使われているコンピュータを
私たちは「古典的コンピュータ」と
呼んでいますけれども
この内部では、「ビット」というものを単位として
情報処理が行われているのを、
みなさんご存知かと思います。

わたし ええ。1ビットが「0」または「1」
のどちらかで、この0か1をずらっと並べて
情報をやりとりするんですよね?

リョーシカ
はい。


わたし でもって今あるコンピュータは全部、
スーパーコンピュータなんかも含めて
「古典的コンピュータ」なんですよね?

リョーシカ はい、そうです。
この古典的コンピュータに対して、
量子に特徴的な性質を活かし、
まったく違う原理で作ろうというのが、
量子コンピュータです。

量子コンピュータにおいては、
量子ビットが単位になります。

量子ビットは、
「0」でもあり「1」でもある状態
をとるのです。

これは量子のたいへん特徴的な性質である
「重ね合わせ」という性質が活かされているからです。

わたし 0と1が重ね合わさった状態ですね!

だけど古典的コンピュータで
日本語を1文字入力するだけだって、
1ビットじゃ足りないですよ。

量子ビットがいっぱい集まると、
0でもあり1でもあり、で1ビット、
0でもあり1でもあり、で2ビット、
0でもあり1でもあり、で………

リョーシカ ええと、そうはならずに、
2量子ビットが相互作用をすることによって
「エンタングルメント」という性質を
持つことができます。

エンタングルした状態にある
2量子ビットは、
別々に2つ存在している場合よりも
いっそう豊かな「性質の豊富さ」
備えています。

わたし 量子がたくさん集まれば集まるほど、
「性質の豊富さ」という特徴も
いよいよ本領を発揮していくわけですね?

リョーシカ ええ。量子ならではの特徴が
発揮できるように、
うまく制御することによって
今までにない、新しい可能性を
引き出すことができます。

量子コンピュータは、このような
量子に特徴的な「性質の豊富さ」を
計算に活かすことはできないか?
という発想から、研究が進められています。

この性質の基本となるのが、
「重ね合わせ」状態だと言えるでしょう。

わたし ふむふむ。
量子の「特徴」っていうのは、
ずいぶん新しい、
今までにないものなんですね。

「類推がきかない」って言われるのは、
このことなんだな。

リョーシカ ええ。
私たちの頭の中で「自然だ」と思えることは
「古典的」な考え方に基づいていますから、
量子を考えるときに、ついうっかり、
その考えを使ってはいないかどうか──
常に注意が必要です。

わたし ふむふむ。
新しすぎるのも、やっかいなんですねえ。


リョーシカ そのようですね。
では今週は、このへんで。


わたし
ええっ! マテ・リョーシカ!

段落替え

さて今週は、「量子の特徴」
をテーマにお送りしましたが
いかがでしたでしょうか?

ちなみに──
量子のふるまいについて
それまで理論的に正しいとされてきたことが
実験によって
次々と確かめられるようになってきたのは
今世紀に入る頃から。

そう考えると、
やっぱり、新しいことって
なかなか理解しにくいんですよね、きっと。

量子が理科の教科書に載るのは
あと何年後ぐらいだろうなあ~。

というわけで、また来週!
オボワ!

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