2009-06-12掲載
先週から始まった『週刊リョーシカ!PART2』の
マトリョーシカ SPECIAL コンテンツ
「わたしだけのマトリョーシカ。」
「下絵」という最初のところが、
案外難しいんだというのが、
先週の話でした。
個人差も大きいとは思うのですが
わたしは、この「下絵」を含めた、
最初のとりかかりの部分が、
とても大変な感じがいたしますね。
プロセスを振り返ると、
まさに
「構想3週間」
という感じで
スタートしたら、あとは
「一気呵成」
でございます。
白木のマトリョーシカを前に
はて、どんなマトにしようかなと。
せっかくの思案のしどころ、ですから
この
はじめの一歩の部分
、
大いに迷ってみてください。
●まずはサンドペーパーでボディ磨き●
白木のマトリョーシカって
どこで売っているんですか?
最近はいろんなところで売っているのを
見かけますよ。
ネットショップはもちろんですが、
手芸用品店や画材用具店
、それから
画材を扱う
文具店
などですね。
レジ横などの目につくところに置いてあったり、
店頭に作品がディスプレイされていたりします。
ふむふむ。
で、白木のマトリョーシカが手に入ったら
まずは、
細目の紙やすりで、
全体を軽く磨きます。
こういうことはあとからはできませんからね、
最初にやっておきましょう。
ただ私の経験では、
白木のマトリョーシカの表面は
わざわざやすりをかけなくても
かなりつるつるなものが多いです。
とはいえ、木くずが付着していたりもするので、
そういうのを取り除いておくわけですね。
まあ、いちおうですね。
やすりをかけることで、
表面を一様に
するわけですから、
重要なプロセスだと思いますよ。
●「キョクメン」を測るには?●
磨きが終わったら、下絵を描くのですが、
白木のマトリョーシカには、当然
何の目印もついていない
わけです。
そこでまず、どのあたりが顔で、
身長の何分の一のところが胸で、手で、
というアタリをつけます。
完成品のマトリョーシカをいろいろ見ると
これが意外にいろんなバランスのがあるんですよ。
マトリョーシカといえば、「プラトーク」という
スカーフのようなのを巻いているのを
よく見かけますが、
あのスカーフの長さひとつにしても、実に様々。
そして、全体としてはだいたい、
左右対称
になっています。
多次元を考えるのが難しいときは、
3次元 → 2次元、というように
次元を減らしてみると、理解しやすい
ですよ。
そ、そうなんです。
だからボディについては、
底面から見て分割したり、
正面から見て左右対称に、
という感じで描いていきました。
続いては、顔の位置。
これは意外と難しい。
場所によってすごくおおらかにもなるし、
小さすぎれば、平面的なのっぺしりた顔にもなるし、
位置だけでも表情にかかわってくるようです。
●世界でひとつだけの目鼻立ち●
で、顔の位置もさることながら、
描き始めて見ると、
やっぱり顔の中身というのが
一番難しいんですね。
人形は顔がいのちなんだってことを
すごく実感
します。
しかも伝統的なマトリョーシカは、
顔や手などのいわゆる「肌」の部分は
木肌が活かされたままになっているのも
多いんですね。
すると、下絵もあんまりごりごり書いちゃまずい。
しかも、絵筆で描き始めたら、
描き直しもきかない。
要するに、
「一筆入魂」
になります。
中でも、やはり目なんでしょうね。
ここはどうしても、
「画竜点睛」
になります。
ひな人形メーカーのウェブサイトでも、
そのあたりの心得が書いてあるので、
ああ、人間国宝とか匠と呼ばれるような方でも
そのように思っているんだなあ、
って、ちょっと感慨深いんですよ。
●こけしとはどう違うのか?●
ひな人形といえば、
マトリョーシカは、こけしに似ていますね。
素材も木だし。
そうなんですよ。
私も、なにげな~く顔を描き始めると、
大概が「これはこけしでしょう」
という雰囲気の顔つきになっていることが
よくありました。
では、どこが違うんだろう、というわけで
下の表のように、整理してみましたよ。
◆マトリョーシカとこけしの違い
こけし
マトリョーシカ
誕生
江戸末期1800年頃
1900年頃(万博)
用途
土産品・玩具
土産品・玩具
構造
一体型
※鳴子こけしのように頭部と胴体を別々に製作し、合体させるものもあり
中空・入れ子構造
描画
抽象的・直線的
写実的・曲線的
塗装
ツヤ消し
ツヤありが主流
顔
和顔
洋顔
胴体
ずん胴・凹型系
ふっくらボディ・凸型系
服装
日本の着物
※ほとんど幾何学的文様
ロシアの民俗衣装など
ね、こうやって比較してみると、
かえって共通点のほうが目立つくらい。
わたしは、こけしはひとつも持っていないし、
見慣れているつもりもないんだけれど、
でもやっぱり、描けば日本人の顔になる。
日本とロシアでは、
なんかもう「顔とは何か」が違う
としか言いようがない感じです。
●シベリアからフラダンスまで。●
そのへんは自由に考えるしか
ないんじゃないですかね。
そうですね。
実際この写真のマトリョーシカ、
右にある、「リョーシカ」として活躍中の方は、
ロシアの民族衣装ですが、
左は、よく見ると、
日本顔のマトリョーシカなんですよね。
ネットで探してみると、最近は、
フラダンスをしているマトリョーシカとか、
世界各国の人々が次々出てくる
マトリョーシカとか、
さらに活字のような文字が描かれているだけ、
というマトリョーシカもあるんです。
なんかもう、お人形ですらない、
というのまであるんですね。
はい、もうなんでも。
白木のマトリョーシカというこのカタチで、
何か面白いものを作ってやろう、
という勢いがいいと思います。
ふむふむ。
で、どんな下絵を描いたんですか?
はっ!
(つづく)