わたしだけのマトリョーシカ。
第19週:カッコとマトリョーシカ。
2009-07-31掲載


『週刊リョーシカ!』オリジナルマト
第3作目にあたる今回は、なんと
「かっこマトリョーシカ」です。

「かっこ」なんて聞くと
数学を思い出しちゃう、って方も
いらっしゃるかもしれません……。

そもそもはこのマトリョーシカ、
2009年1月19日(月)に、
東京・一ツ橋にある学術総合センターで開催された
平成20年度市民講座「未来へつながる情報学」の
金沢誠 国立情報学研究所准教授の講演
「人間の文法とコンピュータの文法とは何が違うのか?
言語情報とコンピュータ」
をきっかけに誕生したもの。

詳細はこちら↓
平成20年度市民講座「未来へつながる情報学」講演一覧
※講演時の配布資料(pdf)、動画もあります。

というのも、この講演のキーコンセプトとなっていたのが
なんと「かっこ」だったのでありました。

人の言語生活と、機械が理解できる言語というものは
もちろん自ずから異なりますよね。
ところがこの「かっこ」という約束ごとは、
人にも機械にも共通のルールなんですって。

(ちなみにこの文章、これでもう「かっこ」10個め!)

いやほんっと、かっこなんて、
気にせず当たり前に使ってますけどねえ。

……というわけで、
さっそく、どうぞ。

段落替え

●「かっこ」だらけの毎日。●

わたし その市民講座へ行ったときに、
わたしとしましては、ちょっとした
「かっこの発見」があったので
ございますよ。

リョーシカ
ほう。


わたし もともと、小学校で、
ちゃんとかぎかっこを閉じなさい!
とよく言われましたよね。

それから中学校へ行くと
英語の授業が始まって、
そのうちにしばらくすると、
「関係代名詞」というのが出てきました。

これがいったいどこまで「かかって」るのか
なかなか悩ましいものがあって、
その時もよく、英文のプリントに
かっこを書き込んで考えたりしました。

リョーシカ はい。
ここから、ここまで、という印ですね。

かっこマトリョーシカは卵型

わたし そうです。
そのここから、ここまで
ということを人はちゃんと理解できて
それはいろんな言語においてそうであり、
また機械のための言語においてもそうである。

とまあ、リョーシ猫のひたいでは
そんなふうに、講演を理解したのでございますよ。

リョーシカ ふむふむ。
で、それだけですか?


わたし えっと、いや、あの……。
そういえば道路標識のお話もありました。

一方通行とか、駐車禁止といった道路標識には
ここから開始というマークのほかに
ここで終わりというマークがあります。
ああいったものもかっこのひとつだと。
これらのかっこが、
ちゃんと閉じた構造をしていないと、
理解不能になっちゃいますよ、ってわけです。

実は「かっこ」って
ほんとに生活のいろんなところに
あるものなんですよね。

かっこマトリョーシカ制作記1


●かっこと入れ子構造といえば……●

リョーシカ それで、マトリョーシカが
出てきたのですね?


わたし そ、そーなんです。
しかし、どうしてわかったんですか?


リョーシカ え?
あ、それは、かっこというのは、
1種類じゃないことがあります。
たとえば数式で使うかっこも、
大かっこ、中かっこ、小かっこというふうに
種類があったでしょう?

かっこマトリョーシカ制作記2
ずばり「かっこ」がテーマのマトリョーシカ!

わたし あった、あった。
小かっこの中を先に計算して、
次に中かっこを計算して……
っていうやつですよね?

リョーシカ
そうそう。


わたし 日本語を書くときも、
「」の中にかぎかっこ『』を書きますね。


リョーシカ ええ。これをまとめると、
かっこのはじめとおわりが1セットになっていて、
これが「入れ子構造」をしている──
ということになります。

わたし
そうですね。


リョーシカ
それが、まさにマトリョーシカではありませんか。


わたし いやー、実はまったくその通りなんです。
そこで、それならば、
ただのお人形の顔をしたマトリョーシカではなく
「かっこ」にフィーチャーした
スペシャルマトを作りましょう!
とスタートしたのが、この
「かっこマトリョーシカ」なのですよ。

リョーシカ
ふむふむ。

かっこマトリョーシカ制作記3
それぞれの「かっこ」の形を活かしたフェイスの下絵


●卵型のオリジナルマトに挑戦●

わたし 今回のマトは、これまでと違い
卵型の白木のマトリョーシカを使いました。


リョーシカ はい。
「かっこ」な感じに
合っているのではないでしょうか。

わたし はい。そして表にはかっこの記号を
ウラにはその記号を図案化したフェイスを
描き込みました。

一番小さいマトリョーシカは開かないので
かっこの中に入る文字の例として、
表はα(アルファ)、ウラはω(オメガ)
としてみましたよ。

また、制作上の工夫としては、
ニスの工程が少々グレードアップ。
うすめたニスを重ね塗りすることで
卵型の曲面が強調されるような
ツヤツヤなマトリョーシカになりました。

さらにニス作業のための台も、
かまぼこの板を使って、
工夫してみました。
両面テープでとめてあるだけなのですが、
なかなか作業がスムーズでしたよ。

かっこマトリョーシカ制作記4
かまぼこの板を、ニス作業台に利用して。


わたし というようなわけで、
こんな感じにできあがりました!

この「かっこマトリョーシカ」
今後は、まだ未定ですが、
金沢先生の一般講演などに、
登場するかも、でございます。

かっこマトリョーシカ完成(まえ)
かっこマトリョーシカ(まえ)

かっこマトリョーシカ完成(うしろ)
かっこマトリョーシカ(うしろ)

(つづく)



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