第25週:グラフの読み手、使い手。
2009-09-21掲載


グラフって便利なものですよね。
なにしろ、グラフィックなので、
すばやく全体が見通せるし、
そのことが、なんとなくリアルな感じを
与えたりもするわけです。

たとえば、株価グラフ。
こんな印が並んでいますよね。

ローソク足

棒の部分をローソク足といって、上から
ローソク足の始まりが──高値
□の始まりが──────終値
□の終わりが──────始値
ローソク足の終わりが──安値
を表します。

そして、四角い部分が黒か白かは、
始値より終値の方が安い時に■
始値より終値の方が高い時に□
で表すのだそうです。

でもってとても変動していて、
しかも振れ幅が大きくて
……というような一日であれば
「激動の一日だね」なんて思ったりする。

さあて、ところでその
「激動の一日」は、
グラフのどこに書いてあったのでしょうか?

グラフというものをかなり見慣れている人でも
ほんとうにグラフに書いてあったか
それとも
その人の経験や記憶の引き出しが
グラフに書いてあることの
いわば「行間」を埋めるストーリーを
作ったのか……
ちょっと混同しやすいところです。

グラフから何を読むか。
グラフをどんなときに使いこなすか。

100の実例よりも、
ひとつの原理のほうが、実用的
ということもありますよ。

というわけで、今回はグラフを巡るお話。
では、どうぞ。


段落替え

●誇大グラフにご用心!●

わたし うーん、人のことは言えないけれど
ニウモン猫にも困ったもんだ。


リョーシカ
どうしたのですか?


わたし ニウモン猫のやつ、
グラフが苦手ならしいです。
たとえば、よくあるじゃないですか、
こんなやつ。

絵グラフ

わたし こういうのを見るとね、
「当社のシェアは圧倒的だね!」
なんて思っちゃうんです。

リョーシカ ふうん。
まあ、A社が2、B社が3、「当社」が5で、
シェアが50%というのは
確かに大きなシェアですよね。


わたし ????
あの、そうじゃなくて、
当社だけ、わざと大きく書いてあるでしょう!

リョーシカ
ああ、体積のことですか。


わたし そう、それですよ。
ちょっと、視覚的にだまされちゃうでしょう?


リョーシカ
ぜんぜん。


わたし



●x軸とy軸というグラフの基本●

リョーシカ このグラフの場合、
タテ(y軸)には1~5という数字、
ヨコ(x軸)には3つの会社が並んでいます。

タテは数字を見るもの、
ヨコは会社の別を見るものです。

だから、ヨコにいくら膨らんでいても、
数字と結びつけて見なかったんです。

わたし うーん、リョーシカは、
だまされませんね。

っていうか、こうなると、
わたしは今まで、このグラフを見て
何だと思っていたのか、
よくわからなくなりましたよ。

つまり、グラフって
グラフィックに「表現」されているから、
そこに何らかの「意味」というか
「メッセージ」みたいなもんを、
見つけよう、という気で見ちゃっているのかも
知れませんです。

リョーシカ このグラフから読み取ることができるのは、
タテは数字を見るもの、
ヨコは会社の別を見るもの、
という、それだけです。

また、このグラフで何を見ようとしているかは、
ヨコにとったxとタテにとったyの関係です。



●式が先か、グラフが先か?●

わたし ところで、人間は数学という教科で
グラフを描くことを習いますね。


リョーシカ
そうですね。


わたし 数学で習うのは、
ある式をグラフに描くと
こうなる、というやつです。

これらはだいたい形が決まっています。
たとえば、こんなの。

関数グラフ

リョーシカ
ふむふむ。


わたし ところが、あるデータがあって、
これをグラフにする、
という機会のほうが、
現実にはずっと多いでしょう?

たとえば漁獲高と水温の関係とか、
なんかそういうデータを
グラフに描いてみて、
関連を探るみたいなこととか……。

すると、へびがのたくったようなグラフを
どうやって式にするんですか?

リョーシカ たとえば先ほどのグラフ(上図)でいうと
直線のほうが一次関数、
曲線のほうは二次関数になっています。

このようにいろいろな形がありますから
このような特徴を組み合わせることによって
そのグラフに近づけることができるわけです。

わたし
うむむ……。


リョーシカ ではまずもう少し単純な場合から
考えてみることにしましょうか。

たとえばとったデータが、
だいたい右上がりに並んでいるという場合なら
直線でそれらを結ぶことができるか
ということを、まず考えますね。

直線を引くとき、
全体として線とデータの差が
一番小さくなるように
引きます。

このような作業をカーブフィッティング
といいます。

ところで、データには
必ず誤差がありますから
カーブフィッティングで得られた線が
データの誤差の範囲内ならば
OKということになります。

わたし カーブフィッティングかあ。
イメージ的にはわかる感じがします。


リョーシカ たとえば先ほどの例ならば
直線ということを仮定して
フィッティングしてみているわけですが
実際、このように関係式を条件として与えて、
フィッティングしてみよう、というように
コンピュータに計算させます。

関係性の核となるものを式として与えて
xとyの間の量的な関係を見ていくわけです。

それでうまくいかないならば
何か別の要素がある、というふうに
考えを進めていきます。

わたし 確かに。
言われてみれば、そうやっているに違いない、
って気がしてきました。

リョーシカ はい。
特に難しいことはありません。


わたし
ふむふむ。


リョーシカ
では今週はこのへんで。


段落替え

というわけで、
グラフときたら、
自分が何を見ようとしているのか
(タテは何で、ヨコは何で……)
とまずはっきりさせてから、見るようにする。
これが基本かなあと思いました。

そこに特に見るようなものがないのに
グラフ化されている……そんな時は
もうそれだけであやしい。。。
なんて見方もできますね。

さて『週刊リョーシカ!』は、
長らく金曜公開で、更新しておりましたが、
これから10月にかけて、
しばらく月曜公開のスケジュールで
進んでまいりたいと思います。

勝手な変更にて恐縮です。
どうぞよろしくお願いいたします。


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