第27週:スケールと精度。
2009-10-05掲載


いよいよ10月。
『週刊リョーシカ!』満二歳の秋……。

ところで、当『週刊リョーシカ!』PART 2は、
残すところあと4回で、
またしばらくお休みに入りたいと思います。

今後のスケジュールは──
第28週:10月12日(祝)
第29週:10月19日(月)
第30週:10月26日(月)
のマンデー更新を予定しております。

というわけで、遅ればせながら本題へと。

今週もまだまだ「スケール」の話。
前回ちょっと気になった「精度」について
基本の考え方を採り上げます。

さて、
今週は、リョーシ猫がご案内します。


段落替え

●ボケぼけのイントロ!?

わたし さて、今週は「スケールと精度」
ってことですけど、
びみょーに関係ないところから
話しちゃうようですが……

わたしは顕微鏡を見る時に、
やっぱり精度というものを感じますです。

リョーシカ
顕微鏡ですか。

植物を顕微鏡で見る

わたし いやあの、精度とはびみょーに関係ないんですよ。
けれども、たとえばなんか小さい虫とか植物を
ちょっとスライスして薄くしたりして
プレパラートにのせて、
いざ、顕微鏡で覗いてみますよね?

リョーシカ
ええ。


わたし するとだいたい、
なんにも見えないんですよ。


リョーシカ
ははは。


わたし でもってリョーシカに見てもらうと
葉の裏側にある「気孔」や葉緑素
なんていうのが、だーっつと見えるわけです。
昔からね、どーなってんだよ、
と思ってたんですが……。

つまりですね、顕微鏡で見えている世界は
すごく大きくなっている。
顕微鏡で見ながら、その微細な世界を、
どうして現実のプレパラートを
動かして調節できるんですか?

リョーシカ 家庭や小学校などで使うのは
光学顕微鏡ですね。
あれで見たいところを調節するなら、
手で動かしても大丈夫。


わたし
そうかなあ。


リョーシカ でも光学顕微鏡だって、
レンズを上下させるためには「ねじ」を
使っているでしょう?
細かく動かすときには、よくねじを使います。

このことは長さを測る道具でも同じです。
大きな動作で小さな動きを生み出す仕組みですね。

スライドさせて動かすよりも、
ずっと精度よく測ることができます。

それから、
顕微鏡をみるときは
深さというのもあるんです。
焦点がどこに合っているかで、
見えるものが違ったりします。

わたし カメラで言うところの
「被写界深度」ですね?


リョーシカ ええ。光学顕微鏡というぐらいだから、
光の量も見え方に関係します。

たぶん、顕微鏡をのぞきながら
何を見ているのかが、
イメージされていないんじゃないですか?



●どんなスケールを見ているのか

わたし それと、先週ニウモン猫が、
「スケールと精度って、
意外と関連してるんですねえ。」
って言ったのが、(第26週を参照)
結構気になっているのですよ。

リョーシカ
ふむふむ。


わたし なんでスケールと精度が
関係あるのかな、と思って。


リョーシカ
汗

たとえばどんな単位でもいいんですけれども、
「1000」と「1×10の3乗」があった
としましょう。

わたし
数としては同じ1000ですよね?


リョーシカ
ええ。


わたし
で、つまり、精度が違うんですか?


リョーシカ
そうです。


「1000」と「10の3乗」

わたし うーん、ちょっと待てよ。
よく理科の実験で、どの位まで測るか
というのをやりますよね。

リョーシカ
はい。


わたし 測ったら、34.04だった。
次に測ったら、35だった。
そう言う時に小数点2ケタまで
測れているのだったら、35.00と
書きなさい、というのがありました。

リョーシカ
同様に考えてみてください。


わたし えーっ! ……ということは、
1000ってことは、小数点以下は見ていなくて
1、2、3と数えているわけだから、
1という大きさで数えて
1000あるということですね。

リョーシカ
その通りです。
1×10の3乗のほうはどうですか?


わたし
うーん、同じに見えるんだけど。。



●1×10の3乗が見ているスケール

リョーシカ 1×10の3乗のほうは、
10の3乗が1個あるということです。
10の3乗を基準に見て、1つある。
だからこの「1」が、精度が1ケタ、ということです。

わたし ああ、そうか。
10の3乗が、いわば単位みたいになって……。


リョーシカ ええ、それ「ごとに」数えているので
「基準」ですね。

だからもし1.1×10の3乗なら、
今度は1ケタ精度が上がります。
10の3乗を基準に1つ下の桁まで
見ているということになりますね。

わたし うーん。
「10の3乗」ごとというのは
ずいぶん大雑把なような……。

リョーシカ 何をみたいのかによって、
どう測るかが決まります。
葉っぱ全体の形を見たいのに、
顕微鏡を持ち出しても かえって見にくいばかりでしょう。

化学反応を考えるのに、
原子ひとつ、分子ひとつをとってこないと
化学反応の実験ができないとすると、
もう全く何もできません。
そういう無意味な精度にはこだわらず、
6×10の23乗個ぐらいあるところで見る、
ということにすれば、
普通の秤で測れる量で
化学反応の本質をつかむことができます。

必要な精度で測ることが必要なんです。


わたし そうそう、その「何を見ているのか」
というところがもっと伝わると、
理科ってきっともっとわかったんだろうなあ
と最近思います。

今週はこれにて。

リョーシカ
あれ? もうおしまいですか。


段落替え

リョーシカと話していると、
ああ、そういうふうに教えてもらえば
わかったかもしれないなとか、
面白いと思ったかもしれないな、
と思うことが多いです。

でもって……
わからなかった時というのはだいたい
「そこでつまづく人多いんだよね」
という時であります。

数学でいうところの
「因数分解」ってやつですな。

汗

というわけで、
来週もどうぞお楽しみに。


まえへ余白トップページへ余白つぎへ