2009-10-12掲載
こないだの十五夜、ご覧になりましたか?
リョーシ猫ことわたしは
月見団子を食べながら、宇宙の話をする、
というのが、十五夜恒例でございます。。
さて、あまり小さいところばかり注目していると
目が疲れたりしますので、
今週はどどーんと
夜空を眺めてみたいと思います。
大きなスケールといえば、天体。
これもほら、言うまでもなく
実に物理な話題のひとつ。
というわけで、
さっそくリョーシカに教えてもらいましょう。
では、どうぞ。
●夜空よ今日もありがとう
夜空って、きれいだけど
とらえどころがないですよね。
目を凝らせば凝らすほど、
ピンぼけるし、
宇宙の果てってどこかな、と思うと
わけわかんないですよ。
でも太陽と月は見たことがあるでしょう?
天体の中でも一番身近なのは、
やはり太陽系です。
太陽の周りを地球が回っていて、
その地球の周りを月が回っているわけです。
だけど地球は自転していて、
でもって公転もしていて
月も回ってるんですよね?
はい。
回っているということは、
引力が働いているわけですが……
ちょっと待って!
なんで回ってると
引力が働いているんですか?
たとえば星が太陽のそばを通りかかって
さっと通りすぎてしまいました。
──もしそういうことがあれば、
引力が働いていない、と考えられます。
でも地球の場合は、太陽と地球の間に
ある距離を維持したまま
公転しているわけですから
太陽と地球とで、引っ張り合っている、
その状態で釣り合っているんだ
って考えられるわけです。
●君の名は、ブラックホール
で、星と星とが引っ張り合っている
その力が、重力です。
重力は、馴染みがありますよね。
私たちが地球上にいわば
張り付いて
生活しているのは、
重力があるからです。
それに宇宙と言えば……
ブラックホール!
そう、ブラックホールがあったりと
大きいスケールでは重力が主役です。
ところがです、重力っていうのは、
万有引力のことだから、
私たち自身の間にも、引き合う力が働いています。
うーん。
人とねこの間にも引き合う力が
働いているんですか???
そうです。
ニュートンが、林檎が落ちるのを見て
万有引力を発見した、というのは
とても有名な話ですよね。
●赤い林檎に寄せて
あれれ?
ニュートンが発見したのは、
重力じゃないの?
ああ、やっぱり。
ええ?
じゃあその重力が、万有引力なの?
いやどうも以前から
気になっていたんですけど
木から林檎を落ちるのは
地球に引っ張られているからだ
というのでは……
見えているそのままですよね?
確かに。
だからそうではなくて
ニュートンは、落ちる林檎を見て
なぜ林檎は落ちるのか、
引力で地球に引っ張られているからだ
──としたら、
私たちをふくめて
すべての物と物との間にも
そのような引き合う力が働いているはずだ、
と考えて、それを
万有引力
と呼んだのです。
重力は質量に比例します。
でも私たちの質量は小さいので
その力をふだん感じないで過ごしていますね。
逆に考えると、それだけの引力を生み出す
地球が、いかにでかいか、そのスケールが
感じられます。
●月のない日は星影さやかに
もっと大きいスケールで見てみましょう。
すると銀河系が見えてきますよ。
ここでは太陽系は点で見えるスケールです。
どんどんスケールアップしますねえ。
そう、頭の中なら自由自在ですよ。
最近東京ではまったく見えなくなってしまいましたが
夜空に架かる「天の川」は、
銀河系をその内側から見ていることになります。
全く明るいもののない、暗いところでみると、
点々と光る点の集まりではなく、
本当に川のように白く濁って見えます。
明るいといえば、
何も人工的な光だけではありません。
星を見るのは、月が出ていない時を選びます。
満月の夜は、
懐中電灯なしでもピクニックができるほど
明るいです。
銀河系ってUFOみたいな形してるんでしょ?
そうですね、中央が厚い、円盤のような形
と考えられています。
しかし宇宙にはさまざまな銀河系があり
その形もいろんなものがあります。
その銀河系が点で見えるくらいの
大きなスケールへ行くと──
今度はクラスター構造が見えてくるんですよ。
ふむふむ。
では、今週はこれにて。
海や空を眺めて
広いなあ、大きいなあ
と思うことはあるけれど、
そこから、なかなか
イメージが宇宙まで
飛んでいってくれません。
宇宙ってどうなっているんだろう?
という問いには、
いろんな答え方があるけれど
物理の場合は、そのような
すごい大きいものや
ナノのようにすごく小さいもの
にフォーカスすることで
物質を理解しようという
関心を持っているわけですね。
ふむふむ。
ではまた来週。