クルマじゃないハイブリッド、の未来。

量子コンピュータはいつできる?

2019.10.07

クルマじゃないハイブリッド、の未来。

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ハイブリッド」と言うと、まずはハイブリッドカーが思い浮かぶが、ハイブリッドとは、そもそも「雑種」を意味し、異なる2つのものがかけ合わさったことを言う。ハイブリッドカーが大きな市場を拓いたように、「ハイブリッド」は、すでに成熟した技術に突破口を見出すことができるという点で、イノベーションにはなかなか有用な考え方だ。

実は、量子コンピュータに代表される「量子情報処理」という新しい分野でも、この考え方が大きな役割を果たしている。ハイブリッドを合言葉に進展する学際的、融合的な研究開発は、いったい量子コンピュータの実現にどんなインパクトを持っているのだろうか?

コンピュータの発達を牽引してきたシリコン

シリコンを材料に、「量子ビット」という量子技術を用いた新しい機能を実装する研究開発を行っている、理化学研究所の大野圭司教授。「この研究のコンセプトを説明するのにぴったりのたとえが、実はハイブリッド車なんです。エンジンという機能にガソリンという既存方式と、電動という新方式を組み合わせる。以前からある技術で信頼性や技術の連続性を保持しつつ、新しいもので革新する──このハイブリッドの考え方を、量子情報処理に使いたいなあ、と考えました。」

現在のコンピュータを支える半導体技術は、インテル共同創業者ゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「半導体集積回路のトランジスタ数は18カ月ごとに倍増する」という経験則、いわゆる「ムーアの法則」に沿って、より小さく、より速く発達してきた。20世紀から今世紀にかけて、半導体の主役となったのは原子番号14の元素、シリコンである。

「通常われわれが使っているコンピュータや情報処理は、シリコンを用いた半導体の開発競争に支えられてきました。だからシリコンを扱う技術は洗練されているし、既存のシステムとの親和性や接続性も極めてスムーズです。そこでシリコンの中に埋め込むかたちで、新しい技術である量子ビットをシステムに導入し、両方のよさを活かそうと考えました。」