第30週:量子と情報処理の未来へ
2009-10-26掲載


本日は『週刊リョーシカ!』二周年記念日!
ちょうど2年前の今日、連載がスタートしました。
その時の記事はこちら↓
第0週:プロローグ
2007-10-26掲載


このPART1は、2008年10月に終了し、
翌2009年の3月に、
現在のPART2 がスタートいたしました。

さて、というわけで、
本日はいよいよ
PART2の最終回をお届けいたします。

またしばらくお休みしますが、
再開その他の情報は、リョーシ猫のブログ
科学と広告のブログ
http://sciencecopywriter.blogspot.com/

をご覧ください(RSS対応してます)。

では、どうぞ。


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●なぜ情報処理にブツリが必要なの?●

わたし 物理学科の学生でなくても、
数式が読めなくても、
背景にあるさまざまな基礎的な素養がなくても、
量子がわかりたい(第29週参照)
──そういう人、増えてますよね。

リョーシカ そうですね。最近まで量子といえば
物理関係者だったのが、
いろいろな場面で量子効果が重要になってきました。

化学反応や、タンパク質の動きとかでも
量子効果を採り入れて計算します。

この「量子効果を採り入れて」から一歩進んで
全部量子的に解ければいいわけですが、
複雑になりすぎて、
すぐに手に負えなくなってしまいます。

こんなところでも、
将来、量子コンピュータができれば、
より量子的な取り扱いが可能になるのではないか
と期待が持てるわけです。

わたし 量子的な現象を解くのも
「量子の」コンピュータ
というのはすごい発想のような!?

リョーシカ そうです。しかし、量子コンピュータの出発点は
そもそも、そこにあったんです。


わたし
そうなのか。


リョーシカ 一方、現在のコンピュータの内部では
情報処理を行う回路が
どんどん集積され
そのサイズがどんどん小さくなってきています。

この小ささが、
最近では量子的な領域に入るほどになり、
すると量子効果が無視できなくなってくるのです。

わたし なるほど。
全部量子で、というのと
部分的に量子的に、というのは、
別物なんですね。


●量子で情報処理はどう変わる?●

リョーシカ
しかしこのような物理的な構造と
情報学とは関係ないようにも見えると思います。

情報学の基礎は離散数学であり、
0と1からなっているわけで、
信号が何で来ようが違いがないからです。

しかし、いくら情報といっても
入れ物がないと扱うことはできないのです。
0と1のデジタル信号には、
それを担う物理系がいつもあるわけですね。

わたし
確かに。


リョーシカ 逆にいうと、そういう入れ物があり、
それを操作できる方法が保証されていれば、
いちいち何でつくるのかを
考える必要はないとも言えます。


わたし そのへんは理論の出番という
感じでしょうか。。


リョーシカ 量子情報処理のおもしろいところは、
これまでの物理的な前提が
量子的な前提におきかわったら、
情報処理はどうなるの?っていう点です。

わたし 量子が牽引する「パラダイムシフト」
ってやつですね!


リョーシカ 今までできなかった情報処理ができる
というのはもちろん考え得るとして、
もっと情報処理としてどう変わりうるのか、
というところが関心事ではないでしょうか。



●量子はふしぎなもの●

わたし 量子はふしぎなものだなあと思うけど
どう不思議なのか、を
正確に言おうと思うと、
そこがなかなかたいへんだったりします。

リョーシカ 量子に限らず、
不思議なものは世の中たくさんあります。
この間の万有引力(第28週参照)だって
改めて考えると相当不思議ですよね。

いろいろな不思議があるのだけれど、
慣れるにしたがって当たり前になっていきます。

わたし しかし……
量子はなかなかならないよーな。


リョーシカ いや、量子もそうなるかもしれませんよ。

しかし、量子のふしぎさが、
いろいろな新しい考えを生むのは
いいことだと思います。

人間の知的な活動が活性化されるわけですから。
でも、それがみんな量子的かというと、
そうはならないのは当然です。

わたし
ふむふむ。


リョーシカ
では今週はこのへんで。


わたし
ええっ! マテ・リョーシカ!

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(PART 2 おわり)


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