量子情報の最先端をつたえる
Interview #021

久保結丸 研究員 沖縄科学技術大学院大学
公開日:2016/07/15

【2】沖縄で「効率100%を目指します」

ハイブリッドにさらに光を加えたい

僕は沖縄で、超伝導回路とダイヤモンドという材料に加えて、誰でも見ることができる光を使いたいと考えています。ハイブリッドによって量子演算器(超伝導回路)とメモリ(スピン)との間を量子状態を保ったまま(←コヒーレントに)つなぐことができたので、これに光を加えることができれば、量子通信あるいは量子ネットワークへとシステムを拡張できます。光とつなぐために僕は、マイクロ波の量子状態が光の量子状態へ、またその逆方向へも、コヒーレントに変換できる「量子トランスデューサー(変換器)」を実現したいと考えています。材料だけでなく、電磁波もマイクロ波と光のハイブリッドにしたいと考えています。効率も、従来効率の10のマイナス9乗%に対して、100%を目指しています。

光を入れるためにいったん3次元に戻る

ではどのように実験をセットアップしたらいいかというと──実は、まだ模索しています(笑)。というのも、超伝導回路のように平面上にコンパクトに集約された極低温の世界に、エネルギーの大きい光を導入するというだけでも、いろいろな問題があるからです。そこで僕は、量子回路を洗練させる方向からいったん離れて、大きな3次元の構造を考えています。一見、退化のように見えますが、これによってまずは光を導入することが可能になります。材料はシリコン不純物を含むダイヤモンドを考えており、かなり高効率で変換できるのではないかと期待しています。ただ、この不純物では長い距離を伝送させると損失が大きい可視光波長の光子へとしか変換が出来ません。実用化のためには現在の長距離通信にも使われている、損失が少ない通信波長帯(赤外線)へ変換できるようにするべきでしょう。したがって、製品化に向けた開発の過程ではまた違った物質の探索など、多くの改良が必要になるだろうと思います。

世界の様子をながめてみよう
Welcome to the Quantum World #021

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