第37回:大当たりィ~の情報量
2008/7/22掲載

今日も暑いなあ~、という日が続きますが
いかがお過ごしでしょうか?

ところで別ページに連載している
マトリョーシカをたっぷりと知るコンテンツ
「ほんとうのマトリョーシカ。」
本日、最終回を迎えております。

というわけで『週刊リョーシカ!』
今号は予定を変更して
「ほんとうのマトリョーシカ。」最終号と
同時公開とさせていただきました。
ぜひ、併せてご覧ください。

改行

さて、今回お届けするのは、
前回の予告の通り、
「情報量」っていうやつでございます。

「情報量」って言われてもねえ~
なんかつかみどころがないような……。

うんうん、そうなんです。

たとえば、本を読んで
自分が初めて知ることが多かった、
だからこれは「情報量」のある本だ
というふうに思うかも、いや
思ったとしましょう。

でもそれって、
知り得た数でしょうか、
それとも、
へえーと思った意外性や
感動の大きさでしょうか?
あるいは、それらを掛け合わせたもの?

そういうふうに詰めていくと
これは結構あやしいんですよ。

「情報量」とは何か?

というわけで、
今回もリョーシカ流に
攻めてまいりますよ。

わたし 「情報量」とは何か?
なんていうのは、
だいぶやっかいですよねえ。

リョーシカ
そうですか?


わたし たとえばニュースをきいて、
それの情報量が多いとか少ないっていうのは
判断はできますよ。

でも、その判断の基準は何か、
どんなときに「情報量」が多くて、
どんな状態が少ないってことなのか
って言われるとなあ~。

情報量とは何か

リョーシカ 確かに「情報量」には
いろいろな定義があります。
しかし、前回までやってきたのは
何でしたっけ?

わたし
確率の考え方です。


リョーシカ そう、これまでやってきた確率の考え方で
「情報量」というものを考えてみましょうか。

ありそうなこと、
それなら結構よくあるよということは、
起こる確率が高い現象ですね。

逆に、あり得ないなあということは、
起こる確率が低い現象です。

そして──
ありそうなことが起こっても
私たちはおどろきません。


わたし ふむむ。
ありそうってことは、意外じゃないから
おどろかないです。はい。

リョーシカ すると、起こる確率が高い現象は
おどろく程度が低いし、

起こる確率が低い現象は
おどろく程度が高い
ということになりますね。


わたし ふむふむ。ここまでは
大丈夫みたい。いけてます。


リョーシカ さて、ところで
確率というのは、
全部足すと「1」になります。


わたし えーと、えーと。
……と、言いますと?


リョーシカ たとえば宝くじが1枚あるとします。
これはもしかしたら
1等の大当たり券かもしれないし
2、3、4等のどれかが当たるかもしれないし
でもって……やっぱり
はずれかもしれませんね。

このように起こりうるすべての事象を考えた時に
それぞれの事象が持つ確率を全部足すと
「1」になるのです。


わたし あ、確かに、わかりました。
ちょっと夢のない話のようにも
聞こえますけど。

リョーシカ では、そこで
ちょっと考えてみましょう。

宝くじが絶対当たらないのなら
買う人はいませんよね?

ということは、宝くじを買う場合には
その1枚について、ある「期待値」がある
と考えることができます。


わたし そりゃー、もう、
みんなすごい期待してますよね。

だけど、リョーシカが言うのは、
それを確率的に見た場合の、
期待の値を考えよう、ということ?

リョーシカ ええ。
見込みがないものには期待できないから
ある程度期待できるという、
妥当な見込みがあるはずですよね。

これを求めるには、
起こりうるすべての事象を考えて
それぞれの事象が持つ値に、
それが起こる確率を掛けます。
これをぜんぶ足したものが、
「期待値」です。

この「期待値」によって
たとえば宝くじを買った場合、
平均的にどれだけお金が戻ってくるものなのか
ということがわかるわけです。


わたし そうか、そうか。
結果的にはあたり・はずれに分かれるけれど
1枚くじを買ったなら、
そのうち何円かは返ってくる勘定だ
というふうに、期待できるってことですね。


リョーシカ はい。そこで今度は、
このような確率的な事象について
「期待値」と同様に
「オドロキの期待値」
というものを考えてみましょう。


わたし 「オドロキの期待値」!?
なんとなく経済学の話っぽくなってきました。


リョーシカ そうですか?

シャノンという人が
物理の「エントロピー」という語を、
情報量に適用した定義があります。

シャノンの「エントロピー」は、
実はそのまま
「オドロキの期待値」なのです。

エントロピー1

わたし
「エントロピー」ですか……。


リョーシカ
というあたりから、
詳しくは、来週にしましょうか。


(つづく)



週刊リョーシカ!
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今回さりげなく登場した
クロード・シャノンという人物……。

情報理論に関して
先駆的な業績を数多く残した、
情報理論の父と呼ばれる科学者
なのだそうですよ。

一方、リョーシカのキーワード
「オドロキの期待値」は
シャノンの功績の中でも基本的な
「情報量」というものを考える上で
非常にわかりやすい手がかりを
与えてくれます。

それに「エントロピー」というと、
どうも難しい雰囲気が漂いますが
「オドロキの期待値」なら
イメージがわきそうですよ。

そんなことも期待しつつ
で、次回ですが、
ひきつづき「エントロピー」じゃなくて
「オドロキの期待値」の方を
より詳しく追っていく予定。

むむ。どうぞお楽しみに。


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