週刊リョーシカ！

2008-07-11掲載
何か事件のようなものが起きた時、そのことを予感していたよという場合に、「虫が知らせた」と言いますね。この「虫」ですが、「腹の虫が治まらない」という言い方もあるし、落語にも「疝気の虫」という噺があったりして、どうも人の体内にいるようです。そういう虫が知らせたのかどうかは、ともかくとして、体験的には、予感してたよなあって思うことがあるのも事実。そうだと思ったんだよー、とかね。というわけで今週は、虫の知らせにご用心、というタイトルでお送りしますよ。
	よく「虫が知らせた」なんて言いますけれども、あれ、不思議だと思うのは、「虫が知らせない」はどうなっちゃったかということなんですよ。
	なぬー、
	「虫が知らせた」と思うことがありますか？
	ありますよ、そりゃ。リョーシ猫は、カンがいいんですから。
	それは、どんな時ですか？

	……。改めて考えると、最近、あんまり虫が知らせてないですねえ。でも、たとえば、ほら、最近あんまり地震がなかったからそろそろ大地震になると思った！とかですね、駅へ来たら、電車が信号故障で停まっているなんとなく虫が知らせたよー！とか、そんな感じですかね。
	ああ、そうですか、なるほど。ところで、虫が知らせるというのは、たいがい　ほんの一瞬、それが起こる予感がしたという感じですよね？
	そうそう。ビビッと一瞬ですね。わたしの場合、腹の虫というよりは、通信のイメージで、なんかしら予感をキャッチするって感じなんですよ。
	ふむふむ。やっぱり。
	で、何がわかったんですか？
	いやたいしたことはわかりません。「虫が知らせる」のは一瞬で別のことを予測している時間はいっぱいある。ところが、何かが起こったとたんに的中している予測だけを思いだすんです。そこへわっと、アテンションが高まるんです。

	確かに何か起これば「虫が知らせてなかった」ことは思いださないですねえ。
	そうなんです。好ましいか好ましくないかに関わらずわっとアテンションが行く情報とそうでない情報があるわけです。アテンションが高まるのは、起こる確率の少ない方です。そして、よくあるほうは覚えていない。たとえば宝くじなんかも外れたことは覚えていないんじゃありませんか？
	何年も前に当たったことを今でも言う、みたいのが、ありがちなケースですよね。
	いや、それだけではありませんよ。これは、ぜったい当たりくじなんだ、といった予測も、はずれとわかったとたんに忘れてしまいます。つまり、虫の知らせがあたらない時も忘れてしまうんです。このケースも、実は大量にあるのだという気がします。
	ちなみに、ものの本によりますと、サマージャンボ宝くじで損しない確率は11.1％（小島寛之監修『人生の確率』宝島社文庫より）なんだそうですよ。
	そうですか。統計データを見るときは、母数、つまり集計した全体の数ですね。それから全員に聞いたわけじゃなくて何人かを選んだ場合にはその選び方が、全体を代表するものになっているかどうか。こういった基本的なところを押さえると、統計が読みやすくなりますよ。
	言えてる。確認します。
	では今週はこれにて。
	ええっ！
（つづく）
今回は、すこし統計にさしかかってきましたがいかがでしたでしょうか？しかしまあ、実感としてもわかることですけど、なぜ、滅多に起こらないようなことは人々の記憶に残りよくあることはがんがん忘れられていくんだろう？これを考えるには「情報量」というものが手がかりになるそうです。というわけで、このつづきはまた次の金曜日にお届けします。ぜひまた『週刊リョーシカ！』にお立ち寄りくださいね。
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