第31週:降水確率「50%の雨」ってどんな雨?
2008-06-06掲載

梅雨めいてきました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

6月の雨、あじさい

さて『週刊リョーシカ!』は
今週から「確率の考え方編」を
お送りしてまいります。

確率と言えば──
当たるも八卦当たらぬも八卦
なんてことわざがあるので、
“要するに当たりかはずれかでしょ”
って思ってる人、
多いんじゃないでしょうか。

そこで確率の第一回目は、雨のお話。
「50%の雨」っていったい
当たりなの、はずれなの?
ってあたりを、
ざんざん降り…じゃなくって
掘り下げてみたいと思います。

ではどうぞ。

わたし いやー、こういう昔やった
理科の問題みたいのって、
けっこう意表を突かれますよね。

リョーシカ
数学の問題です。


わたし はっ!
わたしはすでに意表を突かれている。


リョーシカ ただ確かに、確率というのは、
数学のなかでも
かなり新しい考え方のひとつだと
言えます。

わたし ってことは、
忘れちゃったんじゃなくて
最初からわかってなかった……
ような気がしてきました。

リョーシカ では、さっそくですが、よく
新聞やテレビの天気予報で
降水確率○○%というのを目にしますね。

わたし
気象庁のサイトにも載ってますよね。


リョーシカ ええ。そこで、例として、
東京地方のある日の降水確率が50%
である場合を、考えてみましょう。

わたし 50%というと、
たとえば天然果汁50%の
オレンジジュースみたいなものだと
わたしはわかりやすいです。

つまり、こんなイメージ。

確率50%のイメージ

わたし でもって、このうち
雨にあたる部分がどこなのかというと
コップの半分ということは──
東京地方の約半分の地域……
じゃないですよね。

リョーシカ
それは「ところにより雨」でしょう?


わたし ああそうだ。そうですね。
では午前中は晴れるけど、
あと半分は、夜になるにしたがって雨になる。

リョーシカ
それは「晴れのち雨」でしょう。


わたし うーん、どうも調子が悪いなあ。

だけど……ちょっと待てよ。
雨とは何か、というのは
きちんと定義されているわけですよね。
だとすればなおさら、それは
降るか、降らないか、どっちかでしょう。

リョーシカ
それは、そうですね。


わたし だから、よくよく考えれば、
「50%の雨」なんか見たことない!
んですよ、わたしは。

陽の照りながら雨が降る?!

リョーシカ
マトリョーシカ!

そこで、です。
たとえば365日、
降水確率が50%だとします。
そこで実際に雨が降った日を数えてみると、
だいたい180日だったとします。

これならだいたい50%でいいですね。

わたし
はい。


リョーシカ
ところが365日とも雨だったとします。


わたし
それじゃあ100%じゃん。


リョーシカ そこでちょっと考えましょう。
確率50%でも、その365日だけ
たまたま続いて雨が降ったのかもしれない。
その可能性はゼロではありません。

そして366日目から、また365日晴れる
ということだってあり得るのです。

わたし でも、いくらなんでも……
たまたま過ぎません?


リョーシカ では、本当はもともと3650日あって、
その中のほんの365日だったら、
どうでしょうか?

わたし
うーん。


リョーシカ 36500日のうちの365日だったら
どうですか?


わたし むむ!?
そのくらいだと、確かに、
そういう「たまたま」もあるかなあ、
という気がしてきます。

リョーシカ つまり無限、あるいは限りなく無限に近く
数えた場合に、その半数が雨である。
このような日が降水確率50%
ということになります。

ですからその日たまたま雨が降っても、
たまたま雨が降らなくても、
降水確率は50%なのです。

わたし
シロクロつけたい人には向かない考えですねえ。


リョーシカ え? 私には「確率」として
シロクロついているように見えますが。

さて今週は、これくらいにしましょうか。


わたし
ええっ! マテ・リョーシカ!


(つづく)



週刊リョーシカ!
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「確率の考え方編」の第一回目、
いかがでしたか?

確率の考え方がわかると
たとえば雨が降るかどうかが、
もっと読めたりするのかというと、
そんなことは全然ないんですよね。

降るか降らないかは
やっぱり50%ずつなんです。

しかし一方ではやはり、
当たるかな~、外れるかな~なんて
今までモヤモヤとしかわからなかったことが
すっきりする!という効果は、
これはあるんです。

そこで次回はそんなあたりを
探ってまいりますよ。

それでも雨の気になる方は、
気象庁の梅雨入り・梅雨明け速報をどうぞ。

では来週もおたのしみに。


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