2008/05/16掲載
電話でもインターネットでも
こんな通信が利用できますよ、
という場合は、すなわち
誤りなく送受信できますよ、
という意味ですよね。
間違ってたんじゃ使いものになりません。
でも本当に間違わないのか、というと
通信網にはさまざまなノイズがありますから、
実際には、その影響を受けて
やはり間違ったり、途中でなくなっちゃったり
いろんなことが起こっているわけなんですね。
そこで、そのようなエラーをあらかじめ予測し、
どうしたら誤りが発見でき、訂正できるのか、
そしてその方法で本当に正しいのか
というところまでを検証する
「誤り訂正」という理論があるんだそうです。
そこで今週から2週にわたり、
通信や情報処理に不可欠なこの「誤り訂正」
について、お届けしてまいりますよ。
こういうのはなんですよね、
つまり使うほうとしては
「間違わないようにしといてね」
に尽きるんだけれど、
それをどう実現するか、と考え始めると
ああいう場合もあるし、
こういう場合だってないとは限らない……
きりがないような気もするのですが。
まず理論的にどのようにすれば
間違いなくデータが送受できるか、
ということを考えます。
ああ、そうか。
理論的に、こうすれば必ず正しく
データが送受信できる
というやり方がわかったら、
今度はそれを実際にやってみるわけですね。
そうすると理論的にはうまくいくけれども、
実際にやってみたらうまくいかないということも
もちろん出てきます。
うまくいっても、たとえば
通信距離に限界があるとか、
材料などが高くついて現実的でないとか。
ふむむ。なるほど。
でも、ある程度そういった場合も想定して
理論を組み立てておいたほうがいいです。
でもって、今週は、
誤り訂正というのを教えてもらうのでした。
はい。
まず送りたいデータを用意して、
機械がやりとりできるように、符号化します。
符号化だから、0と1ですね?
はい。そして「0」があったら
「000」というように
末尾にそれぞれ2ケタ追加します。
この追加した2ケタを使って、
誤りを訂正していきます。
たとえば図のように、
「あ」を送るのに、「010」と符号化し、
そのそれぞれに2ケタ追加しました──
という手順ですね。
はい。そこで「000」と送ったのに
どこか1つ間違って
「1」になってしまったとします。
たとえば最後の数字が
「1」になってしまった場合は
図の中にえんぴつで示したようになりますね。
「111」のほうも同じように
3通りの間違い方がある。
うーん、やっぱり間違い方のほうが
多様だよなあ~。
ただし、これは1ケタだけ間違った
場合ですよ。
間違いが起こる確率がとても高い、
すなわち2ケタも間違う確率も
顧慮しなければならないとなると、
この方法では足りなくなります。
さて続いて、1ケタずつ0か1かを
測ります。
出た!
「測定!」
大丈夫、まだ古典的な場合の話ですから。
そうだった。
ホッとしました。
「001」の場合、
最後の1ケタだけ、1と出て、
あとは0ですから、
1のほうが間違いということになり
「001」→「000」
と訂正することができます。
「111」の場合も同じように、
ひとつだけ0と出るから、
これを直して「111」にすれば
いいわけですね?
そうです。
意外と簡単じゃん。
では来週は量子の場合について
考えてみましょうか。
ええっ!
(つづく)
古典の場合、すなわち
私たちがふだん使っている
コンピュータや通信の
「誤り訂正」についてお届けした
今週の『週刊リョーシカ!』、
いかがでしたか?
こうすれば間違いなく送信できるよ
という、この方法を、
いったい誰が考えたのかというと、
シカゴ生まれの数学・情報工学者、
リチャード・ハミングさんだそうです。
今週ご紹介した、
エラー訂正のために付加する符号を
「ハミングコード」というのですが、
実はこれ、発明者の名前に
ちなんでいるんですね。
さて来週はいよいよ
リョーシ(量子)の場合。
ゴーゴー! と進んでまいりますよ。
どうぞおたのしみに。
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