2008-03-28掲載
リョーシカの研究室は東京にあるのですが
今がちょうど桜が満開、まさに見頃です。
新入学、新入社のシーズンですねえ。
さて『週刊リョーシカ!』も心機一転、
前回まで10週にわたってお届けした
「量子力学」に続き、
今週からは「情報処理」をテーマに
お送りしてまいります。
情報処理といえば、
代表的なのがコンピュータ。
私たちはふだん
0、1、2、3……8、9の10個を使う
「十進法」で数を数えていますが、
コンピュータは「二進法」で情報を記述し、
処理を行っているんですね。
この二進法で使われる数が、
ご周知のように、0と1という次第。
そこで今回は、この0と1という
情報処理の基礎から、
まずは掘りおこしてまいりますよ。
毎年のことなれど、桜ってきれいですねえ
……。
そういえば、百円玉をひっくり返すと
桜が描かれているじゃないですか。
そうですね。
詳しく言うと「八重桜」なんだそうです。
はい。
ところがあれ、桜の面が「おもて」
「100」と書いてある面が「うら」
なんですよ! 知ってましたか?
でもって、この表と裏を使って、
百円玉をぱちぱちと順に並べていくと……
これぞ0と1の二進数!
コンピュータって、きっと
こんなふうにできているんですよね?
そうですねえ。
でも別に0と1と2でもいいし、
0、1、2、3で記述したっていいんですよ。
むむ?
いいんですか?
ええ。つまり、本質的には、
0と1でやる場合と同じです。
え? “何が”同じなんですか?
0や1という離散した数で
表現している点です。
おっ! 離散といえば、
思いだすのが、
「とびとびの値」。
離散的に扱うのであれば、
みんな0と1で表現できる
ということがわかっています。
二進数は「離散的」の代表なんですね。
ええ。3進数でも128進数でもいいけれど、
それを0と1で書いてもいい。
一方、電気的な信号というのは、
オンとオフという2つの値から成っています。
そこで0と1を、電気の物理的な状態に
対応させて、情報処理を行おうというのが
デジタル信号だということになります。
ふう~ん。
0と1というのは、いろんな意味で
情報処理の基礎なんですね。
数や情報を記述する方法として万能だし、
電気信号にもぴったり対応してくれるし。
理にかなっていて、都合もいいとくれば
これまで発達してきたのもなるほどって感じ。
そうですね。またどのように発達したかは、
開発の経緯も関係してくるでしょう。
しかし本質的なのは、離散値であること。
アナログではなく、デジタルであることです。
それって、量子に似ていますね。
いいえ、まったく違います。
へっ?
量子の世界では、
物質のふるまいは、奇妙で不思議なルールに
基づいていたでしょう?
そういえばそうでした。
デジタル方式の現在のコンピュータは
私たちの暮らしと同じルールに基づいています。
量子から見れば、古典的ということになります。
そうか。すると、
量子の原理に基づいたコンピュータが
量子コンピュータというわけですね?
量子コンピュータって、
いったいどういうしくみになっているんですか?
そう、
なかなかエキサイティングですよね。
どうなっていると思いますか?
……!
少しゆっくり進んでまいりましょうか。
……では失礼。
ええっ!
(つづく)
「私たちは日々、たくさんの情報を
処理して暮らしています」
なんてよく聞いたり読んだりしますけど、
これと同じように
コンピュータが行う「情報処理」も
実に多彩で、複雑で、高度な仕事が
こなせるのだそうです。
これまでは生物や化学の問題だったり、
社会現象特有の問題だと考えられてきたことも
「情報処理」という考え方で、
新しい見方ができる。
ますます期待の集まる「情報処理」を
あの奇妙な「量子で」というのが、
量子コンピュータなわけですね。
これはどうも、
たいへんなことになってきました。
リョーシカの言うように、
少しゆっくりめに進んでいきましょうか。
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